バックナンバーリスト


1920年の巨大火球のゆくえ
目撃者のインタビューから

1920年6月8日に、アメリカ南部の夜空を一瞬にして赤く染めたあの大火球は、もう人々の記憶から消し去られてしまっただろうか?その出来事から約80年経った1998年の夏、その大火球のゆくえを追って、ある隕石研究家がオクラホマ州を巡る旅に出た。彼の目的は、一連の出来事の全てを知り尽くすこと。当時子供だった目撃者たちは、80歳を越えている。20世紀最大かつ最強の光を放った火球の目撃証言を取れる最後のチャンスだ!

オクラホマのBonnie Thompson(89歳)は、8歳だった当時を振り返って、『あんなにすごい音、あれ以来聞いたことないわね〜。雷より大きい音で、家族全員ベッドから飛び起きたわよ。本当、この世の終わりかと思ったわ。』と語っている。

Harp Edwards(95歳)は、超高齢にもかかわらず、14歳当時の出来事をはっきりと覚えていた。『最初に、家中の窓から光が差し込んできたんじゃ。昼間よりも明るくなって、床のホコリまで見えるくらいじゃったよ。あんなにすごい光は、わしの長い人生の中でも他にはないね。それで、光が動いてたもんだから、慌てて外に出たら、でっかい光の球が屋根の上を西の方に飛んでいったんじゃ。先の所はバスケットボール位の大きさで、2メートル位の赤い雲が10分位空に浮かんじゃったのう。いや〜、びっくりしたね〜。そうそう、その後の音もすごかったよ。球が消えて5秒位したら、空がゴロゴロいいだしての〜。小作人達なんか、死ぬほど怖がっておった。』

隕石研究家は、Mrs. Clem(91歳)とのインタビューのために南へと向かった。『その夜、私は友達の家に泊まっていてね、空が明るくなったかと思ったら、火の玉が飛んできたのよ。そりゃもう恐ろしくって、友達と一緒に悲鳴をあげたわね。火球が飛んだのは、1分位だと思うわ。大人たちは、怖がる私たちに『ただの彗星よ。』と言ってなだめたんだけど、外の騒ぎがすごくて、落ち着かなかったわね〜。この世の終わりだと思って、皆お祈りしたり、泣き叫んでたのよ。その日曜日の教会といったら、入りきれないほどの人が押し寄せて、皆懺悔してたわ。』
目撃者の誰もが、『この世の終わり』を感じたと言うほどの異常な光景。隕石の研究がすすんでいなかった当時を思えば、当然のことだろう。オクラホマ州で目撃された火球は、Ardmoreに落下したという新聞記事を覚えていた目撃者もいた。その新聞記事以来、世紀の大火球が取り上げられてことはなかったという。

火球を見た人たちは、世界中でもほんの一握りだ。地理的偶然と時間的偶然の接点に居合わせた者だけが体験できる、まばゆい光景。研究家は、その光景を夢見る。継ぎ合わされた目撃証言は、彼の想像の世界を大火球で赤く染め上げる。より鮮明に、より美しく火球を心に描くために、研究家は、今でも目撃情報を集め続けている。

*火球目撃地点の地図




このページのご感想・ご意見・ご要望をお寄せください
meteo@desk21.com