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信じる者は救われる!

 あなたはこれまでに『隕石かも?』と思うような石を見つけたことがあるだろうか?あまり隕石の知識がなければ、『なんとなく珍しい石』くらいの考えから『隕石かも?』と思ってしまうこともあるだろう。でも、そんな風に隕石を見つけることが、実際にありうるのも事実。逆に、金属探知機や磁石などを用意して、完全装備で隕石探索に出掛けても、一向に隕石とめぐり会わない不幸な人も大勢いる。唯一言えることは、隕石が見つかると信じ続けることが一番肝心だということである。ここに、お金を払ってまでも、自分の発見した石が隕石であることを証明しようとした男の話を紹介しよう。

 1983年の9月、ある隕石鑑定家のところにフィリップ・ギブソンというトレジャーハンターから電話があった。彼は、興奮気味に事のいきさつを話し始めた。メキシコ湾で協力者とスペインの鎧を探していたところ、グレイトンビーチ近くのインディアンの廃棄処分所で、金属探知機が異常な反応を示したので、砂浜を1メートルくらい掘ってみると、10kg以上もある黒い石が出てきたのだ。探知機は異常な金属反応をその石に示し、すぐさま彼は、それが隕石だと思った。落下した隕石を発見したインディアンが、村に隕石を保管した後興味を失って、その廃棄所に捨てたと考えれば、そこに隕石があったこととつじつまが合う。思い立ったら吉日で、彼はその石をすぐに鑑定家のところに送った。

 その石を電話のあった日から数日前に受け取っていた鑑定家は、『よくあるんだよな〜、海岸の沈殿物を隕石と間違う素人さん。これは間違いなくニセ隕石だ。』と思って、包みごとほおって置いたのだ。そこに、興奮したフィリップからの電話。鑑定家にしてみれば、迷惑としか言いようがなかった。その石は、どう見ても「ニセモノ」なのだから。

 鑑定家がつれない返事をしても、フィリップはその石が隕石であることを信じて止まなかった。隕石鑑定を申し込むフィリップに、隕石鑑定家は『その必要はないよ。だって、その石は見るからに隕石ではありませんから。』と、冷たく言い返した。そして、どうやっても引かないフィリップにシビレを切らして、『どうしてもと言うなら、高額の料金を請求しますよ。無駄なことにお金を使うのはおよしなさい。』と言い放った。すると、フィリップは、『OK!小切手を送るよ。それで鑑定してくれますよね?』と駄目押しをした。天晴れフィリップ!!よく言った。それでこそ、信念を持った男の姿だ!!

 しかし、鑑定家にしてみれば、いい迷惑そのものだった。時間とお金の無駄と分かっている鑑定をしなければならないのだから。ところが、何度実験をやってみても、出てくる答えは「陽性」ばかり。鑑定家のイライラは頂点に達した。隣の家から研磨機を借りてきて、石の表明を削ぎ落とし、内部構造を目で確認した。そして、またもや「陽性!」。鑑定家は遂にキレた。それでも『ニセモノ』と信じていた鑑定家は、自分のコレクションからコンドライトを取り出して、拡大鏡を使って隅々まで見比べた。結局、彼の最終的判断は、その石が隕石であるというものにするしかなかった。

 『フロリダでは、過去に隕石発見が4件しかない。その5件目となる隕石が発見された場所を見ておかなければ』と思った鑑定家は、すぐに現地へと飛んだ。フィリップが現地で見せてくれた隕石は、鑑定家が山ほど見た隕石の中でも記憶に残るほど個性的なものだったという。その後、隕石は大英博物館のグラハム博士の下に送られ、オリバイン・ブロンザイト・コンドライトH4という鑑定結果を得た。

 時には、フィリップのように、盲目的で少々強引なまでに自分の直感を信じることも必要なのかもしれない。もし、彼が怖気づいて鑑定家の最初の一言に屈していたら、偉大な発見と貴重な隕石はメキシコ湾の砂に埋もれてしまうところだった。信じるものは救われるとは、まさにフィリップのような人のことを言うのだ(とりあえず、鑑定家の直感と信念が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちたことは忘れることにしよう)。

あなたも、『これは!!!』と思う石を発見したら、机の引き出しに後生大事にしまって置くのではなくて、ぜひ鑑定にまわしてみて欲しい。ただし、その前に、このサイトや書籍などで隕石の大まかな特徴を学んでからにしよう(例えば、隕石は磁石に必ず反応するとか)。さもなければ、ただの時間とお金の無駄になりかねない。






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