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隕石の効用?!
食べちゃうなんて・・・

私たちは隕石についてどのくらい知っているのだろう?「隕石を持っている」と話すと、たいていの人は「何馬鹿なこと言ってるの?!」と言いたげな視線を向けてくる。実際、「お仕事は?」と尋ねられて、「隕石関係に携わっています」と答えると、大きな瞬きを返されるか、失礼にも「ハァ?」と聞き直されたりする。それで、隕石のキーホルダー(筆者の宝物)を見せたりすると、「へぇ〜」と感心しているように言いながら、目の奥からは疑いが湧き出ている。おまけに「あなたって面白いわね〜」なんていう言葉で締めくくられた日には、「世知ない世の中だな〜」と心で泣いてしまう。

でも、隕石が地球にわんさかと落ちてきているのは、事実なのだ。その量をはっきり言うことはできないけれど、一説によると、100g以上の隕石が年間に約26,000個も落ちていると言うから驚きだ(残念ながら、そのほとんどは地球の70%を占める海に沈んでしまう)。とは言え、隕石の落下が目撃されることは極稀なので、年間で新発見が報告されるのは3〜4件しかないのである。しかも、隕石は研究者・博物館・コレクターなどの限られた範囲で流通しているので、一般ピープルが気軽に入手できるものではないと思い込まれてしまっているのだ。

そんな訳だから、隕石落下がほとんどなく、隕石業界的に後進国である日本で、隕石を見せても信じてもらえないのは当然のことかもしれない。でも、これほど科学技術と教育が普及している国の人が理解できない代物なのだから、無教養な人が見たらとんでもない勘違いを起こしてしまうかもしれない。

最大の勘違いを起こしたのは、ウガンダの人々だった。1992年にウガンダに降り注いだ隕石を、当時エイズの恐怖におびえていた人々は、神様が送ってくれた特効薬と信じ込み、次々と食べてしまったと言うのだ。鉄隕石だったのか石質隕石だったのか、相当な覚悟で飲み込んだに違いない。それにしても、『溺れる者はワラをも掴む』とは、よく言ったものである(笑ってはいけないほど深刻な話なのだが・・・)。


なんと、信じられないことに、ヴァチカンでも隕石が食べられていた。さすが、キリスト教信仰の厚い国だけあって、『天から落ちてきた石』に長寿と精力増強のミラクルパワーがあると信じてしまったのだ。この一風変わった妄想に、ヴァチカンの隕石協会は、隕石ディーラーに重要隕石売却の停止を懇願したという。

隕石を所有しようと思うには、それぞれの意図や理由があるだろう。でも、隕石が健康食品になるとは到底考えられない。それよりも、空からの小さな塊を手にして、遠い宇宙や過去に思いをはせたり、不思議の詰まった世界にいる自分と向き合ったりして、心と知識の泉に水が溢れてくるような、そんな効用を信じてもらいたいものである。




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