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月の石の話

隕石コレクターなら喉から手が出るほど欲しがる月の石のちょっと耳寄りな話をしよう。「地球にはアポロ計画で持ち帰られた月の石がある」というのが一般人の考えるところだが、地球にある月の石の全てがアポロ計画で持ち帰られたものではないことくらい、隕石情報をちょっとかじればすぐ分かることだ。でも、実際にそれがどの位あるかと聞かれると...隕石がその辺に人知れず転がっていることを考えると、地球上に隕石がどれほどあるか答えられないのと同様、月の隕石に関しても確実な答えを出すのは不可能に近い。

では、着実な線から確認されている分の量を見てみるとしよう。その前に一言。テクタイトの起源説に月がらみのものがあるが、申し訳ないがここではその説を無視することにする。はっきりしないものを恐れ多い月の石に加えるわけにはいかないからだ。アポロ11,12,14,15,16号が持ち帰った石の総量は380kgにおよび、グループとして最大の量を誇っている。そのほとんどは、テキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センターの「月試料研究所」に今日も大切に保管されている。サハラ砂漠での様々な探索によって発見された月の隕石のトータルは4.5kgで、アポログループに次ぐサイズだ。その他には、2001年発表の西サハラ砂漠で発見された623g、オーストラリアのCalcalong Creekで発見された19gの小さな月の隕石、ロシアの調査隊によって発見された塵サイズが極少量ある。問題となるのは、それ以外の発見されてない分だ!

アポロ計画終了後に、数十グラムの月の砂がフロリダ州のCape Canaveral(地図参照)で発見されている。その測定に関与した技術者たちによると、ニクソン元大統領の指示によって共産主義国へ送られたり、秘密に持ち出されたなどという情報もある(なぜ、共産国へ?)。それに、毎年南極で隕石探索が繰り返されている。いずれにしても、月の石は人知れず地球のどこかに存在し、少しずつではあるが発見されているのだ。

地球で発見された地球外物質(一言でいえば「隕石らしきもの」)には、その起源が解明されないままになっているものが結構ある。それに、カリフォルニア州Gold Basinで発見されたLタイプのコンドライトのように、熟練したメテオハンターでさえ見逃してしまいそうなほど「隕石らしくない隕石」が貴方の足元に転がっているとも限らない。月の研究がすすめば、身元不明の隕石が実は月起源だったなんていうことになりそうな気配もかなりあるし、見落とさずにすむような発見方法も発明されるだろう。


1930年、Ernst Opikなる人が、「いずれ、地球に落ちた隕石の500個の内一つは月のものだと判明するだろう。」という嬉しい統計を発表している(何を根拠にしているのかは不明だが・・・)。そして、1984年、地球上で発見された初の月の隕石AH81005が隕石ファンを興奮の渦に巻き込んだ。Opik氏の予測に期待を膨らませてしまうのは当然だろう。となると、毎年100グラム以上の隕石が26,000個落下しているというカナダ・カメラネットワークの数値から計算すれば、毎年100グラム以上の月の隕石が52個地球に落ちてきていることになる!!!あ〜、海さえなければ・・・そう、残念なことにそのほとんどは深く暗い海の底に安住の地を見つけてしまうのだ。それでもめげずに地上に落ちるものに希望を持とう!地球の7割が海とすれば、3割が地上に落ちてくる計算になり、なんと15個も地上にあるのだ!!

まあ、あまりありすぎても希少性が落ちてしまうし、この辺がちょうど隕石ファンの心を擽る数なのかもしれない。とにかく、アポロ計画が幕を下ろした後も月の隕石の数は増え続けていくというのは確かだ。この話で、月の隕石を手に入れることに少しでも希望を持っていただけたら幸いである。




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